100種類以上の野菜を作る 家庭菜園

出来るだけ固定種の野菜を作り、自家採種しています。

未練は人生を変えてしまう

昔のことだが、二人の男がいた。


二人とも教員だった。


彼らは、二人とも非常な熱心な部活動指導者であった。


前々から部活動が自由にできる地区に移動を希望していた。



しかし、彼らの地区の教育長は、金正日のような独裁者だった。


「使える教員は、他の市には絶対に転勤させるな。」との戒厳令を敷いていた。


そして、使えなくなると他の市に、放り出した。使い捨てで有名な教育長だった。


もちろん、彼の最後は、仲間に裏切られて、追い落としを掛けられ惨めな最後だったが。




ある時、二人の男は私の元を訪ねた。


「転勤したい。力をかしてほしい。」とのことだった。


しかし、私には人事権がない。


あるのは悪知恵だけだ。



「わかった、力になろう。ただし、私の言うことを絶対に守ること。」


「一つ目は未練を持たないこと。二つ目は私の名前を絶対に出さないこと。」



一人は、私の言うことを守って、うまく転勤できた。


もう一人は、1年待ってくれと言った。


彼には期待を掛けていた2年生の優秀な選手がいた。


その子を無事に育て上げてから新しい学校でやりたいと言った。


彼には未練があった。




しかし、その年に彼は、希望しないのにとなりの学校に移動となった。




その情報が事前にわかった時に、彼は私の所に来て、何とかならないかと言った。


私は、その学校の校長を知っていたので、電話をして確かめた。


彼は、「大丈夫だろう」と言った。


その話し方から、危ないと思った。


彼は、その市の教育長に拾われて、校長になった。


教育長に逆らえる訳がない。



案の定、彼は転勤となった。彼は過員対象教員になっていた。


その学校が学級減となった場合の移動の対象の教員と言うことだ。



彼はとなりの学校に行っても残してきた教え子の面倒を見ながら、頑張った。


次の年は、「親が年老いて、面倒を見なければならないとの理由で、1年で転勤希望を出した。」



彼の転勤のバックアップには相当に苦労した。


何人もの先輩やら仲間の力を借りた。


閉鎖的な学校社会で、権力者と戦うには、相当なエネルギーを使う。


二人の教員のその後はどうなったか。



一人は、校長になった。


もう一人は、管理職のラインに乗ったにもかかわらず、不良生徒の親とトラブって、それが元で教員を辞めた。



人事というのは、「ひとごと」と読んで、自分ではどうしようもないことである。


人に任せたら、徹底して身をゆだねることだ。


一番いけないのは、二股をかけたり、未練を残したりしないことだ。